国立大学職員になるにはどうすればいい?特徴・適性まとめ
2023.06.22
大学は学生に教養と専門知識を身につけてもらう高等教育機関です。その教育現場を支える大学職員という職業は、教育・研究機能の強化や学生サービスの提供、地域貢献活動など様々な業務に携わることができ、専門性を生かせる仕事のため、人気の高い職業の一つとなっています。
そこで今回は、教育現場に関わりながら自分の専門性を生かした仕事に就きたいという方のために、国立大学職員の仕事内容や特徴のほか、国立大学職員になる方法、国立大学職員に向いている人について詳しくご紹介するので、参考にしてみてください。
1.国立大学職員とは
国立大学職員は、国立大学や附属病院等で窓口業務や構内業務をはじめとした対外的な広報・調査など、幅広い業務に携わる職員です。以前まで公務員でしたが、平成16年に国立大学が独立行政法人化されたことで、現在は「国立大学法人等職員」という身分になっています。
なお、国立大学法人等職員は国家公務員ではないものの、「みなし公務員」として国家公務員に準じる扱いを受けています。みなし公務員とは、仕事内容に公共性・公益性が認められることから、給与やその他の勤務条件などが公務員に準じて定められるのが特徴です。
2.国立大学職員の仕事と特徴
国立大学職員の業務内容は、大きく分けて「事務系」と「技術系」があり、それぞれ以下の通りです。
・事務系
主な分野 | 主な仕事内容 |
---|---|
総務・人事・企画 | 長期構想・計画の立案、規則等の制定・改廃、文書の収受・発送、各種行事・会議の開催、教職員の採用・昇任、研修の企画・実施など |
財務・会計 | 大学の予算編成・決算書作成、資金、債権・債務の管理、入学料・授業料の収納、教職員の給与・旅費の支給、備品・消耗品の購入・管理、設備の保守、補助金・寄附金の受入、土地・建物の取得・管理など |
学生支援 | 学籍管理(入退学・休学等)、カリキュラムの編成・管理、試験の実施、成績の管理、学生の生活指導・相談、奨学金の申請、授業料の減免申請、学生の募集、入試のPR、入試の実施など |
研究協力 | 産学官連携の立案・推進、研究費補助金の申請、公開講座の企画・実施など |
国際交流 | 海外との学術交流の企画・支援、外国人研究員の受入、教職員の海外派遣、外国人留学生の受入・生活支援、学生の海外留学派遣など |
医療支援 | 大学病院における医療事務 |
図書管理 | 図書の選定・購入・管理、図書の貸出・返却、図書の目録作成、図書資料の電子化など |
・技術系
主な分野 | 主な仕事内容 |
---|---|
施設管理(電気、機械、土木、建築) | 施設整備の計画作成、建物・設備の維持・修繕・更新(修繕または新設建物・設備の設計・積算、工事の入札・契約・施工管理)、施設の有効活用、省エネ対策、環境保全、安全対策など |
教育・研究支援(電気、機械、土木、建築、化学、物理、電子工学、生物・生命科学等) | 研究施設における教育・研究のサポート(各種の実験・実習用機器の取扱指導、薬剤の取扱指導、情報処理におけるハードウェア・ソフトウェア管理など) |
国立大学職員の業務範囲は非常に幅広く、専門分野の知識や技術を生かせる仕事が多いのが特徴です。特に、図書管理、医療支援、施設管理、教育・研究支援などの分野では、専門知識や強みを生かした仕事を行うことができます。
また、折衝やコミュニケーションにより成り立つ仕事が多いため、教員・学生・納入業者・工事業者・他の大学や研究機関など、学内外の関係者とのやり取りが多いのも特徴です。
3.国立大学職員になる方法
国立大学職員になるには、おもに「国立大学法人等職員採用試験に合格する」、「大学独自の採用試験に合格する」、「内部登用試験に合格する」という3つの方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.国立大学法人等職員採用試験に合格する
国立大学職員になるための最も一般的な方法は、国立大学法人等職員採用試験を受験して合格することです。国立大学法人等職員採用試験は、国立大学法人等が合同で行う一次試験(統一試験)と、採用予定の各大学が実施する二次試験に分かれます。
この試験は毎年1回実施されていますが、採用年の4月1日時点で30歳以下であれば学歴要件はありません。2021年4月1日採用予定の2020年度試験の応募資格は、「1990年4月2日以降に生まれた者」となります。
また、試験内容も教養試験のため、大学などで専門的な学問を習得していなくても受験することが可能です。
3-2.大学独自の採用試験に合格する
統一採用試験以外に大学独自で職員採用試験を実施しているところもあります。応募資格や試験日程・内容などはそれぞれの大学で異なり、概ね統一試験よりも条件が緩やかで受験しやすい傾向にあります。
3-3.内部登用試験に合格する
内部登用試験は、大学に勤める契約職員などの非正規職員を対象に行われる内部的な採用試験です。この試験も応募資格や試験日程・内容などはそれぞれの大学で異なり、実施していない大学もあります。
試験の対象は大学に勤める契約職員などになるため、採用後の実戦力に期待したものですが、統一試験に比べると試験の難易度は低く設定されているのが一般的です。
4.国立大学職員に向いているのはこんな人
国立大学職員に向いている人物・人柄はおもに次の通りです。
- 教育に関心がある人
- 自分の専門分野を生かしたい人
- 人と接することが好きな人
- 事務作業が好きな人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.教育に関心がある人
教育現場の支援・サポートを行うことに熱心かつ関心のある人は、国立大学職員に向いています。若い世代が社会に出て様々な分野で活躍していくためには、質の高い大学教育やサービスの提供が欠かせません。大学教育は社会の発展に寄与するという公共的な役割を担っているので、使命感の強い人、公共の福祉に貢献したい方などにもおすすめです。
4-2.自分の専門分野を生かしたい人
国立大学職員の仕事は専門性を生かせる業務が多くあります。事務系では「事務」「図書」、技術系では「電気」「機械」「土木」「建築」「化学」「農学」「資源工学」「電子・情報」など、選択肢が豊富です。自分が得意とする専門分野が国立大学職員の業務分野にあり、その専門性を生かした仕事がしたい方にも向いています。
4-3.人と接することが好きな人
国立大学職員の仕事を進めるには、どの分野においても教員や学生あるいは業務関連の業者や他の大学・研究機関の職員とのコミュニケーション能力が求められます。日頃から人との関わりや交渉などを通じて、コミュニケーションを図ることが好きな人は国立大学職員にも向いています。
4-4.事務作業が好きな人
国立大学における企画書や財務帳票をはじめとして、あらゆる書類の作成やデータ管理はパソコンを使って作業を行います。そのため、パソコンが得意な人やデスクワークが好きな人、情報リテラシーの高い人にもおすすめです。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は国立大学職員の仕事内容や特徴などをご紹介しました。大学職員というと、窓口で学生証や成績証明書などを発行する仕事というイメージを持たれることも多いですが、実際には教育現場を支援するための様々な業務に携わっています。教育に関心があり、自分の専門性を生かした仕事がしたいと考えている方は、国立大学職員を候補の一つとして検討してみてください。
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